【紅茶の種類】有名な産地と特徴を知って紅茶をもっと好きになる!
 この記事は近々リライト予定です。それまでは、文字だらけの少々味気ない記事のままですが、良ければぜひご覧になってください。

「アフタヌーンティー」って素敵ですよね。陽が傾くなか、椅子に深々と腰を下ろし、軽食をつまみながら気の置けない友人たちと語らう。とても憧れる英国貴族的な情景です。ともあれ、現代。世紀と国境を越えて、紅茶は私たちに身近なものとなりました。そんな時代に生きるからこそ、紅茶に詳しくなればきっと紅茶が好きになるはず。ということで今回、この記事をご覧の皆さんに是非とも「紅茶好き」になっていただくため、紅茶の産地とその特徴をご紹介したいと思います。少々長くなりますが、どうぞお付き合いください。

そもそも「紅茶」とは

まず初めの素朴な疑問。私たちがよく親しんでいるお茶には「緑茶」と「紅茶」がありますが、果たして、その違いはどこに由来するものなのでしょうか。

実は、緑茶も紅茶も同じ植物から作られます。その植物というのが、ツバキ科の「カメリア・シネンシス」、通称「茶の木」。茶の木には酸化発酵を起こす酵素が含まれているため、これをどの程度活かすかによってお茶の違いが生まれるのです。簡単にご説明しましょう。

紅茶を作るにはいくつかの工程を踏む必要があります。萎凋(いちょう)という茶葉の水分量を調整する工程、揉捻という茶葉を傷つけ発酵を促す工程、それから発酵、加熱(発酵を止める)、乾燥という工程です。対する緑茶は、最初に加熱することで生茶の色を留め、揉捻、乾燥という工程を踏みます。ちなみに、ウーロン茶は加熱の前に萎凋することで半発酵させているのだとか。

つまり、緑茶と紅茶の違いは茶葉の加工方法によって生じるものだということです。「紅茶は加熱前に萎凋と揉捻を行う」というのが最大のポイント!これだけでも覚えておけばお友達に自慢できますね。

ところで、茶の木は二つの種類に大別できます。葉の小さい中国種(カメリア・シネンシス)と、葉の大きいアッサム種(カメリア・シネンシス・アッサミカ)です。アッサム種は中国種の変種で、専ら紅茶用としてインド、スリランカ、アフリカなどで栽培されています。反対に、中国種は主に緑茶用として栽培されていますが、中国やダージリンなどではこちらも紅茶用として栽培しています。

しかし、どちらも茶の木。その両方から緑茶も紅茶も作れるというのが非常に面白いところです。とは言え、1970年以降、挿し木によるクローニング技術を活用した「クローナル」や、中国種とアッサム種を掛け合わせた「ハイブリッド」などが市場に出回るようになったので、特に紅茶の分類は複雑になってきています。

そんな奥深い紅茶の世界に踏み込む第一歩として、有名な紅茶の産地と、そこで作られる紅茶の特徴を見ていきましょう。

有名な「紅茶の産地」

紅茶と言えばイギリスを思い浮かべるかも知れませんが、イギリスは紅茶の「消費国」であって「生産国」ではありません。では、一体どこで紅茶が作られているのでしょうか。

International Tea Committee(通称:ITC)が2014年に行った調査によれば、紅茶の生産量(万トン/年)上位5ヵ国はインド(120)、ケニア(50)、スリランカ(34)、インドネシア(13)、中国(8)となっています。ケニアとスリランカはそのほとんどを輸出に充てているのに対し、インドでは年間100万トンを自国で消費しているのが特徴的です。

このうち、世界三大銘茶を有する中国、インド、スリランカの有名な「紅茶の産地」をご紹介します。

中国(2か所)

中国は南東部の広い地域で紅茶を生産している世界的な紅茶生産国です。雲南紅茶なども有名ですが、ここでは高級紅茶として名高いキーマンと、独特なフレーバーを持つ正山小種(ラプサンスーチョン)にスポットを当てたいと思います。

キーマン(祁門)

言わずと知れた世界三大銘茶の一つ、キーマン紅茶。キームンとも言いますね。祁門は中国南東部、安徽(あんき)省の亜熱帯地域にあります。年間200日も雨が降る黄山山脈周辺にて1875年から生産が開始された歴史ある紅茶です。英国女王の誕生日会で饗されることでも知られています。

キーマンの紅茶は渋みが少なく、それでいて濃厚な、なんとも上品な味をしています。菊の花や熟れたリンゴ、焦がした砂糖にも似た甘い香りも魅力の一つです。水色は紫がかった赤色。イギリスではティーウィズミルク(ミルクティー)で飲まれることが多いようですが、ブラックティー(ストレートティー)でも楽しめます。

武夷山(ぶいさん)

中国南東部の福建省にある武夷山は紅茶発祥の地と言われています。1630年頃から作られ始めたその紅茶は正山小種(せいさんしょうしゅ)と呼ばれていました。当時、中国で人気を博していたウーロン茶を作ろうとして失敗したものが起源とされています。別名は龍眼紅茶。松柏で燻された独特の香りが、龍眼(ライチのような果物)の香りに似ていたことから名付けられたものです。

これがイギリスに輸出されるようになると、「長い船旅で香りが薄れてしまうからもっと香りの強い紅茶を頼む」との要求がなされ、それに答えるための紅茶が作られました。それがラプサンスーチョン(正山小種の転訛)です。燻す工程を繰り返すことによって、まるで正露丸のような強烈な香りを発する紅茶が出来上がりました。

ラプサンスーチョンを現地の人が飲むことは決してなかったようですが、イギリスではその強烈な香りを「オリエンタルだ!」と有難がったのだとか。以来、正山小種は影を潜めてしまいましたが、ラプサンスーチョンは現在でも手に入れることができます。そのままいただかず、他の茶葉に混ぜて楽しむのがお勧めです。

インド(4か所)

インドの紅茶と言えば、紅茶好きでなくともその名を知る、紅茶の名産地ダージリン。次いでアッサム、シッキムやニルギリなども素晴らしい紅茶の産地として有名ですね。そんな、インドで作られる魅力的な紅茶たちをご紹介します。

ダージリン

チベット語で「雷の地」を意味するダージリンは、インドの北東に位置する西ベンガル州の最北にあります。そこへ福建省から茶の木が持ち込まれ、紅茶の生産が始まったのが1850年頃のこと。ヒマラヤ山脈を背に、高いところでは標高2300mの高地で栽培されている影響か、年三度のクオリティーシーズン(良質な茶葉を収穫できる季節)をもつのが特徴です。

最も希少かつ人気の「ファーストフラッシュ」は、3月から4月にかけて収穫される、いわゆる春摘みの茶葉です。意図的に発酵を軽くしているため、水色は緑茶のような黄金。味は爽やかで刺激的な渋みがあります。繊細な香りが魅力なので、ブラックティーがお勧めです。

5月から6月に収穫される夏摘みの茶葉「セカンドフラッシュ」は、時にシャンパンに例えられるダージリンを象徴する紅茶となっています。水色は赤みがかったオレンジ。マスカテル(マスカット)フレーバーと呼ばれる豊かな香りは、春摘みよりも芳醇です。コクと渋みが強いため、ブラックティーでもティーウィズミルクでも楽しめます。

「オータムナル」は10月から11月にかけて収穫された秋摘みの茶葉です。収穫量が多いわけではありませんが、春摘みや夏摘みに比べると手頃な価格で取引きされています。水色は深い赤色で、その香りはまるで熟した果実のようです。夏摘みよりも甘さの増したコクのある味わいが特徴となっているため、ティーウィズミルクが好まれます。

アッサム

インド北東部の州アッサムは、ヒマラヤ山脈を背にしたブラマプトラ河流域の広大な平野にあります。1823年にイギリス東インド会社のロバート・ブルース少佐が、それまで中国にしか存在しないと考えられていた「茶の木」の変種を発見したことで知られる土地です。この発見による紅茶の普及が「紅茶の歴史」を変えたことは言うまでもありませんね。

高温多湿で世界有数の多雨地域。茶葉の栽培に最適の気象条件を備えたアッサムは、インドで生産される紅茶の半分以上が作られている世界最大の紅茶産地となっています。アッサムの紅茶は芳醇な甘い香り、濃厚なコク、かつて「スプーンが立つほど濃い」と例えられた深い赤色の水色が特徴です。ティーウィズミルクに適しています。

シッキム

1975年にインドへ併合された王国シッキムは、現在ではインドで二番目に小さな州となっています。ダージリン以北にあり、茶の木もダージリンから譲り受けたものです。そのため、シッキムの紅茶はどこかダージリンを思わせる味わいがあります。州内唯一の茶園「テミ農園」で作られる茶葉は希少で、取引き価格はやや高めです。

世界三位の標高を誇る名峰「カンチェンジュンガ」の麓で作られる茶葉には、干しブドウのような甘い香りがあります。年三度のクオリティーシーズン毎の特徴はダージリンに似ていますが、全体的に渋みが少なく優しいコクがあるため、非常に飲みやすいのが魅力です。ブラックティーに最適で、アイスティーでも楽しめます。

ニルギリ

ニルギリはインド南端にほど近い丘陵地帯にある南インド最大の紅茶産地です。その名は「青い山」を意味しています。これは、12年に一度だけ咲くクリンジの花が山々を青く染めることに由来しているのだとか。セイロン島に近いこともあり、他のインド紅茶よりもスリランカの紅茶に似た風味があります。

ニルギリの紅茶は強い個性がないため、フレーバードティーに重宝されています。水色は明るい褐色。クセのない味わいと微かな甘い香りは、ダージリンやアッサムなどの紅茶が苦手な人にこそお勧めです。フレーバードティーの他、冷たいブラックティーや、軟水では渋くなりがちなレモンティーなどに適しています。

スリランカ(5か所)

スリランカは1948年にイギリスから独立した当時「セイロン」という名前でした。1972年に国名を改めてからも、その紅茶は「セイロンティー」として親しまれています。そんなスリランカの五大紅茶産地をご紹介しましょう。

ウバ

キーマン、ダージリンに並び称される世界三大銘茶ウバは、スリランカのハイグロウンティー(高地栽培茶)を代表する紅茶でもあります。セイロン島中央にある山岳地帯の東側に位置しており、7月から8月にかけてインド洋から吹き付ける冷たく乾燥した風の影響を受けた茶葉が、8月から9月頃にクオリティーシーズンのウバ紅茶として取引きされています。

その最大の特徴である香りは「ウバフレーバー」と呼ばれ、まるでバラの花にミントを添えたような爽やかな甘みが魅力です。水色は深い赤色で、白いカップの内側に美しい光の輪(ゴールデンリング)を描きます。刺激的な渋みはミルクとの相性が非常に良く、専らティーウィズミルクが好まれる紅茶です。

ディンブラ

ディンブラはセイロン島の中央山岳地帯から南西に広がる高地にあります。味、香り、水色のバランスに優れたセイロンティーを象徴するハイグロウンの紅茶です。クオリティーシーズンは1月から2月とされていますが、年間を通して高品質の茶葉を生産しているため、スリランカの高地栽培茶として高い評価を得ています。

水色はオレンジがかった深い赤色。その香りにはバラに例えられる華やかさと青リンゴのような爽やかさがあります。紅茶らしい良い渋み(ブリスク)をもっていますが、穏やかな風味が特徴的で、果実などを加えたアレンジティーなどでも親しまれています。冷たいブラックティー、ティーウィズミルクにもお勧めです。

キャンディ

セイロン島の中央に位置するキャンディは、かつて王国として栄えた歴史ある街です。ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。ここで、後に「セイロン紅茶の神様」と称えられるスコットランド人のジェームス・テイラーがアッサムの苗木を栽培し始めたのが1867年のこと。以来、キャンディはセイロンティー発祥の地として知られるようになりました。

キャンディの紅茶は標高500m前後の低い土地で栽培されるローグロウンティー(低地栽培茶)。安定した気候の下で育つ茶葉に旬はなく、いつでも安定した品質の紅茶を生産しているのが特徴です。水色は澄んだ赤色。控えめな香りと渋みの少ない優しい味わいがあり、クリームダウン(紅茶が冷めて濁ること)が起こりにくいことから、アイスティーやアレンジティーに最適です。

ルフナ

ルフナはセイロン島南部、スリランカの紅茶産地のうち最も標高の低い地域にある栽培地です。しかし、南部は高温多湿の気候に恵まれ、年間を通して大きな茶葉が育つ地域でもあります。そんなルフナの紅茶は、気温が高いことで茶葉の酸化発酵の度合いが高まり、重厚感のある仕上がりとなっています。どうも、アラブ諸国の人々に好まれているのだとか。

茶葉を3㎜程度の比較的大きなサイズでカットするBOP(ブロークンオレンジペコー)タイプの紅茶が主流で、そのため、濃厚なコクがありながらも渋みを抑えられているのが特徴です。ハチミツや砂糖を焦がしたような甘い香りは、どこかキーマンの紅茶を思わせる気品があります。ブラックティーでも楽しめますが、ティーウィズミルクがお勧めです。

ヌワラエリヤ

標高1850mの地域にまで栽培地が広がる、ハイグロウンティーの中のハイグロウンティー。それがヌワラエリヤです。セイロン島の中央山岳地帯に位置していて、元々はイギリスがリゾート地として開発した土地だったのですが、現在では紅茶産地としての方が有名になりました。2月から3月にかけて、クオリティーシーズンがいち早く訪れることでも知られています。

ヌワラエリヤの紅茶は発酵を軽く仕上げているため、ダージリンの春摘みのようなグリニッシュ(青草の良い匂い)な香りがあります。水色は淡いオレンジ色。ハイグロウンティーらしい華やかさと熟した果実を思わせる甘さ、爽やかな口当たりと刺激的な渋みが合わさって、非常に個性的な紅茶となっています。ブラックティーに最適です。

最後に

最後までご覧いただきありがとうございます。ややこしい表現が連続する気難しい記事になってしまいましたが、楽しんでいただけましたでしょうか。

疲れ目を擦りながらも読み切ってくださった皆さんは、もう既に友人たちもきっと驚く紅茶博士になっているはずです。外食時はもちろんのこと、ご自分で紅茶を淹れるときの楽しみも増えたことでしょう。

悔やまれることに、ここではあまりに長大な記事になる恐れがあったため、写真やイラストを使わず、文章に情報を詰め込めさせていただきました。なので、少しでも紅茶に興味をもっていただけましたら、是非ともご自身の眼と鼻と舌で楽しんでいただければと思います。

それではまた、別の記事で!

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